ホワイトデー

はるえおばあちゃんは今年93歳になる。華奢で小柄で、少し腰が曲がっているが、まったくボケていない。大の巨人ファンで、クロスワードパズルが趣味、息子と冗談を言い合い、孫娘とトランプをして遊ぶ。


早くに夫を亡くしたが、自分の人生にはおおむね満足しているようで、「もうこの歳だから、いつお迎えがきてもかまわないのよ。毎日そう思って床につくんだけど、朝になると自然に目がさめてしまうのよね」などとおっしゃる。


そのはるえおばあちゃんが、2月のはじめに、孫娘に「気の利いたチョコレートを買ってきてほしい」と頼んだ。おばあちゃんはそのチョコレートを、バレンタインデーに2人の孫娘の彼氏たちにプレゼントした。


93歳のおばあちゃんからチョコレートをプレゼントされた彼氏たちは、相談して、1カ月後におばあちゃんを食事に招待した。2人の彼女たちと、その両親と一緒に。ちょっといい話だと思いませんか?


はるえおばあちゃんは、私の姉の義母である。たまたまその日に姉の家を訪れた私は、大牙(タイガー)という猫と一緒に留守番をおおせつかったという次第である。

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